まだ会社員だった頃。20年近く前のことなんですが、今でもよく覚えているシーンがありましてね。
当時、宣伝広報を担当していて、NYで高名なカメラマンさんとの商品撮影の仕事があったんです。
実際に商品を作る担当だったのですが、かかっているお金の大きさや仕事の大切さやらで、すっかり腰が引けちゃいまして、数日して社長にお会いする機会があったときに神妙な顔でこう言ったんです。
「〇〇さんの方が、(未映えの良い)いい商品つくると思うんです。大切な仕事だと思いますので(なので、代えていただけませんか)」
まるで、会社のことを考えたらそうした方がいい、くらいの提言でした。
その言葉を聞いて、社長が優しい顔とゆっくりした口調でこうおっしゃったのです。
「そういうときはね。やりますって言えばいいんだよ^^」
どんな力量かわかっていて、敢えてオーダーしてくれていることが伝わってくるような・・・いつもの明るく勢いのある口調とは違った優しい、穏やかな口調でした。
その瞬間はわからなかったのですが、時が経つほど、張っていた肩ひじが緩んでいったことを覚えています。
ときに、より高い、広い視点から、その時の顕在意識ではわからないことが起こるものです。
ただ、起きたことに精一杯向かうだけ。それでいいんです。それがいいんです。
そのとき、教えていただいたことでした。